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サッカー韓国代表の趙広来(チョグァンレ)監督は28日、主将のMF朴智星(パクチソン)の代表引退を明らかにした。
試合後の記者会見で「今日で引退する。まだ続けてくれるようお願いしたが意思は固かった」と話した。アニメ 抱き枕 朴は今大会後の代表引退を示唆していた。この日の試合後には選手らに胴上げされ、「これが最後、そういう気持ち」と語った。今後は所属するマンチェスター・ユナイテッドに専念する。代表では100試合に出場し、13得点。W杯南アフリカ大会まで3大会連続プレーした。 また、DF李栄杓(イヨンピョ)もこの日、代表を引退した。韓国代表では歴代3位の127試合に出場した。けいおん 抱き枕 PR |
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専属契約の問題が起きている韓国人気ガールズグループ「KARA」が初主演している日本のドラマ放送が延期になる可能性が出てきた。
27日付の日本の主要スポーツ新聞は2月4日放送予定である「KARA」主演のテレビ東京で放送中のドラマ「URAKARA」第4話の放送が延期される可能性があると伝えた。アニメ 抱き枕 今月14日から放送を開始した「KARA」主演の「URAKARA」は全12話で制作される予定で28日放送の第3話までは撮影が終わっているが、第4話は一部のみ撮影が終わっている状態だ。 魔法少女 抱き枕新聞によると、放送局の広報担当者が25日までは「撮影と放送は予定通り進行している」と語っていたが、26日になって「撮影スケジュールがあるため、何らかの処置をとらなければならないようだ」、「代わりの番組も検討中である」と伝えた。 |
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日銀は25日、当面の金融政策の運営方針を決める金融政策決定会合の2日目の協議を開いた。今年春ごろに景気の足踏みから脱するとする回復シナリオを維持した上で、緩和的な金融環境を保つため、政策金利の誘導目標である無担保コール翌日物金利を、現状の年0~0.1%に据え置く見通し。
アニメ 抱き枕また、国債や社債、不動産投資信託(REIT)の購入原資などとなる「包括金融緩和」の基金の規模も、35兆円のまま維持するとみられる。 また日銀は今回の決定会合で、昨年10月にまとめた年2回の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価を行い、景気の現状に変化がないかを点検する。 EVA 抱き枕米欧中心に海外経済の不透明感は強いものの、国内ではエコカー補助金やエコポイント制度の政策効果などで個人消費が高まったとして、現在2.1%程度としている平成22年度の実質成長率の予想を、上方修正する可能性がある。 決定会合の議論の内容は25日午後、白川方明総裁が会見を開いて説明する。 |
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人気アイドルグループ、AKB48の大島優子、北原里英、指原莉乃)、横山由依の4人がユニット「Not yet」を結成し、3月にCDデビューすることになった。21日に東京・SHIBUYA-AXで行われた公演「リクエストアワー セットリストベスト100」2日目で発表された。
ソロデビューする板野友美、派生ユニット「フレンチ・キス」に続いてアンコールの3組目としてデニム生地の衣装を来た大島、北原、指原の3人が登場。ファン1000人の前でユニット結成を発表した。 博麗霊夢 抱き枕第2回選抜総選挙1位の大島以外は同16位の北原と同19位の指原という顔ぶれで「平均12位のユニット」。すでに3人組としては「ノースリーブス」「フレンチ・キス」がデビューしているため、大島も「3人では勝てない」と自虐気味に笑った。そこで“サプライズ”で「人数だけでも勝とうと思って増やした」)と4人目の横山を呼び込んだ。 昨年10月に研究生から昇格したばかりの“新人”の大抜てきに会場は「おぉ~っ!」とヒートアップ。デビュー曲「週末Not yet」(日本コロムビア、3月16日発売)が披露されると、ファン1000人も初めて聞く曲ながら即興で合いの手を入れて熱い声援を送っていた。 アニメ 抱き枕 |
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金八先生、ついに定年-TBS系ドラマシリーズ「3年B組金八先生」で主演を務めてきた武田鉄矢(61)が、3月下旬の特別番組「3年B組金八先生ファイナル」(仮題)で「定年退職」することが20日、分かった。1979年10月のスタート以来、32年にわたって約240人の卒業生を送り出してきた。武田は「ラストスパートなので、手締めのような美しさになれば」と有終の美を期する。
「金八」は、全国で校内暴力が吹き荒れた時代を背景に誕生。国語教師の坂本金八が生徒たちと体当たりで向き合う姿が、お茶の間の感動を呼んだ。放送開始時の金曜午後8時は「ワールドプロレスリング」や「太陽にほえろ!」といった強力な裏番組があったが、第1シリーズで平均視聴率24・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、最終回は39・9%をたたき出した。 女子生徒の妊娠やいじめといった生々しいテーマに挑戦し続け、番組は長期シリーズ化。80年秋の第2シリーズでは、周囲に悪影響が出ないよう、問題のある生徒を排除しようとする「腐ったミカンの方程式」という思想がクローズアップされ、流行語にもなった。 武田にとってまさに出世作で、「金八がなかったら今のこの顔つきはない」と言うほど。撮影現場のセットに「3年B組金八先生」の文字があり、それを指でなで、「おれのセットだ」と主役を射止めたことに胸が高鳴ったのも懐かしい思い出という。 アニメ 抱き枕シリーズが続いた理由として、武田は「人生の交差点であり、人生で最も共感を呼ぶ15歳という時期に舞台を設定したことが支持された」とみる。生徒役の少年少女には、奇をてらわず、ありのままの中学生を演ずるよう指導してきたという。 過去の生徒役は多士済々で、第1シリーズだけをみても、杉田かおる(46)、鶴見辰吾(46)、近藤真彦(46)らが出演。芸能界から参院議員に転進した三原じゅん子(46)も同窓生だ。後年のシリーズも上戸彩(25)らを輩出している。 ファイナル放送は文字通り一回きり。放送日は未定だが、これまでの卒業生が勢ぞろいして出演する方向で調整が続いている。関羽雲長 抱き枕 「熟れた木の実が地面に落ちた幸せを感じる。ずっとゴールを夢見てきたが、ここまでたどり着けたのは奇跡的」と武田。「きれいな日本語で、はっきりと『さようなら』と言える番組になって良かった」と、ほっとした表情で笑ってみせた。 |
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「あー、今日も平和だなー」
と、コンは机に項垂れた。 「どこがですか」 と、自前の短剣を磨きながら言葉を返すプラム。 「……オレが」 「そうですね」 相手にされなかったコンはむっとしたものの、黙って口を閉じた。 場所はモノクローム帝国の首都パステル。城下町として栄えている街の東の外れに、ギルド『ビビッド』はあった。 「勇者様ご一行が世界を救ってくれたとはいえ、まだまだモンスターたちの暴走は収まってないんですよ」 「うん」 「勇者様ご一行は旅の疲れを癒すとか言って城でのんびりしてるから、細かい仕事が全部こっちに任されちゃうんです」 「うん、知ってる」 プラムは溜め息をつくと、コンに顔を向けた。 「コンだって本当は、こんな所で休んでいられないんですからね」 「うん、そうなんだよねー」 と、コンは顔を上げると、包帯を巻いた左足を見下ろす。 「早く帰ってこないかなぁ、エルム」 今度はコンが溜め息をついた。 短剣を鞘に収めて、プラムが席を立つ。 「せめて事務仕事、やって下さいよ」 と、カウンターへ行くと、棚に溜まった依頼書や報告書を取り出す。 「無理。オレ、頭使うの苦手」 「それでもこのギルドのリーダーですか」 プラムがコンの前に紙の束をどん、と、置いた。 「ちょっと怪我して歩けないからって、甘えたこと言わないで下さい」 「……プラム、最近機嫌悪いよな」 と、心配するように言うコン。プラムはドキッとしたように身を引くと、すぐに背を向けた。 「あなたがしっかりしてないからですっ」 オリジナル 抱き枕そして奥の部屋へ行ってしまう。 コンはその姿を見送ると、紙の束に手を伸ばした。 「傷口はだいぶ塞がってきたね」 と、エルムはコンの左足を見て言う。 「痛みはまだある?」 「いや、昨日と比べたら全然ないな」 コンがにこっと笑って返答し、エルムもにっこり微笑む。 「じゃあ、明日か明後日には復帰できるかな。あ、薬塗るから、ちょっと我慢してね」 エルムは鞄から塗り薬の入った瓶を取り出し、蓋を開ける。コンは彼が薬を手に取る様子を眺めていた。 椅子の上に伸ばされたコンの左足にエルムが緑色の薬を塗る。薬草を使って作られたそれは、エルムのお手製だった。 「いつも悪いな、エルム」 魔物に噛まれた痕を丁寧になぞりながら、エルムはコンへ口だけで聞き返す。 「え、急に何?」 コンは真面目に治療士としての仕事をこなす彼を見ていた。思わず本心を口にしそうになって、躊躇う素振りでごまかし、飲み込む。 「いや、この二週間、ずっと世話になってるからさ」 薬を塗り終えたエルムが顔を上げた時には、コンはへらへらといつものように笑っていた。 「マジでありがとな、エルム」 エルムは内心で首を傾げたが、構わずに言葉を返す。 「どういたしまして」 そうして二人が仲良く談笑しているのを見て、プラムは小声で毒づいた。 「慣れない前衛に出たのが悪いんだ」 隣で報告書を書いていた召喚士のトビがちらっと顔を上げる。 「今日は二人きりだったんだろ?」 「ええ」 むすっとしているプラムに、トビは呆れた表情を浮かべて言った。 「そうやって仏頂面してるのが悪いんだぜ」 思わずプラムはトビを睨んだ。再び筆を走らせ始めたトビは、無視を決め込んでいた。 「……トビよりはマシだと思いますけどね」 隣の部屋で仲間達と酒を飲んでいる彼のことだと分かっていた。しかし、トビは顔を上げなかった。 「……暗殺、ですか」 翌朝、初めに飛び込んできた依頼内容にプラムは目を丸くした。 「それも相手は勇者の仲間であるトクサ、弓使いの美青年だ」 と、コンは書類から目を上げる。 「やるか? 報酬はかなりの額だぞ」 「……いくら裏切られたからって、それは暗殺に値しないのでは?」 「オレもそう言ったんだが、実際に来たのは代理人でな。詳しい事情は知らないそうだ」 プラムは気が乗らなかった。 「ですが、依頼は普通、最低でも二人でパーティーを組んで行うものです。今回の依頼はお受けできません」 「だが、あっちがお前を指名してきたんだ。断るのは構わないけど、お前の得意分野だろ?」 プラムの職業は暗殺士、気配を消して獲物に近づき、一発で仕留める。 「ボクが殺すのは本当に悪い人間だけです」 「……んー、そうだよなぁ。勇者は殺せないよな」 と、困った顔で依頼書類を見直すコン。 「まあ、暗殺するにしてもしないにしても、一度相手の顔を見てくるべきじゃないか?」 そう言って話をまとめると、コンは書類をプラムへ差し出した。 「……分かりました」 他の仲間達は市民の生活を脅かす魔物達と戦っているというのに――、プラムは溜め息をついた。 勇者様ご一行と聞けば、多くの人々がその顔を思い出すことが出来る。それほどに彼らは有名であり、尊敬されていた。そして世界を救った彼らには国から自由が与えられ、一部の市民は彼らに礼を言おうと金品を貢いだ。 その中に混ざることで相手を確認しようと、プラムは思い立った。 依頼をこなす際には軽い鎧を着けるが、今回はただ相手を見るだけだ。一般市民の着るような普段着で街を行き、屋台で売られていた赤いリンゴに目を付ける。 全ての準備が整ったところで、プラムは城へ向かった。 「勇者様はどちらにおられるでしょうか?」 門番に尋ねると、すんなり答えが返ってくる。 「エクリュ様とシトラス様は今日も北の図書室に、リラ様は敷地内の森に、トクサ様は三階西の自室に、アヤメ様は現在外出中でございます」 「中へ入っても?」 「どうぞ。中にいる侍女に声をかければ、すぐに案内してくれますので」 プラムは礼を言うと、門を抜けた。 勇者様へ金品を渡すのに、直接手渡しすることは許されていなかった。近くへ行って顔を見、侍女か従者を通してそれを渡すのだ。そう知っていたプラムは、さほど近くに寄ることはないだろうと考えていた。 しかし、侍女に案内されてたどり着いたのはトクサの自室だった。 「トクサ様、お客様がお見えになりました」 と、先に中へ入った侍女が頭を下げる。 「ん、ああ」 ベッドに寝ていた裸体の男がこちらへ顔を向け、プラムはドキッとした。 トクサは立ち尽くしている市民をまじまじと眺めると、にこっと笑みを浮かべて言った。 「君、こっちおいで」 「……は、はいっ」 理解が出来なかった。プラムは言われたとおり、彼の近くへ歩みを進め、そこでようやくはっとする。これほど近くで顔を見られてしまったら、依頼をこなすのに支障が出るではないか。 「名前は?」 「え……コルク、です」 とっさに偽名を名乗ったが、無意味だった。トクサは美青年と謳われるのが当然なほど、綺麗な顔立ちをしていた。すらりとした長身もあって、外見だけではどんな人も勝ち得ない。 「年齢は?」 「じゅ、十九、です」 身体を隠そうともせず、トクサがプラムの頬へ手を伸ばしてくる。 「好きな人、いる?」 そっと触れられ、妙にドキドキしてしまう。 「い、います」アニメ 抱き枕 近づいてくる顔から目を逸らすマリ。するとトクサは、ふっと手を放して笑った。 「何だ、残念。じゃあ、失恋した時にまた来てよ」 と、優しく微笑む。 「その時は、オレが慰めてあげる」 プラムは頬を赤く染め、からかわれたことに気づいた。恥ずかしさに耐えながら、リンゴの入った袋を彼へ突きだす。 「ああ、そうだったね」 からかった本人は何事もなかったようにそれを受け取り、からかわれた方は足早に部屋から出て行った。 「失礼しましたっ」 「で、部屋でずっとむくれてるのか」 話を聞いたトビは、天井を見上げた。二階の寝室で、プラムはまだ引きこもっているはずだ。 「何があったか聞いても、全く教えてくれないんだよな。困ったよ」 と、呆れたように息を吐くコン。 今夜も仲間達は酒を飲んでストレスを発散しており、エルムもまたその中で笑っている。 「明日もこんな調子だったら、どうしたら良い?」 「さあな。リーダーはコンなんだから、お前が解決しなきゃ」 「……無責任だな」 「どっちが?」 トビは意味深な笑みを返すと、仲間達の方へ向かって行く。コンはプラムのことを心配して、天井を見つめた。 |
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このアパートの住人が俺を残して全員出払ってしまったのだろうか。
あるいは、いつの間にか外では雪が降りだしていて、音という音を吸いとっているのかもしれない。 この寒さなら十分ありうる。 コタツから這いだし、ついでにろくに見てもいなかったテレビを消した。 なんとなく、雪を見るなら音のない世界がふさわしいような気がしたのだ。 ガラス越しにさえ感じられる夜気の冷たさに首をすくめつつ、窓際に立つ。 もし降っていたら、ホワイト・クリスマスか。 クリスマスなんて関係ない身でありながら、妙に心がきゅっと引き締まるような、厳粛なものを感じる。 俺が南国育ちで、雪に慣れていないからだろうか。 だが、カーテンを引いてみると、外に広がっていたのはいつも通りの闇だった。 いくら目を凝らしても、空を舞う白いものは見当たらない。 「……そろそろ寝るか」 ため息のかわりにそんな独り言がもれた。 カーテンをぴっちり閉めなおし、飾り一つないわびしい部屋へと向きなおって……俺は絶句した。 見知らぬ美女が、すました顔でコタツの側に立っている。 栗色のボリュームたっぷりの髪、つくりのはっきりした顔、すらりと伸びた足。 掃き溜めに鶴、という形容を使うのはためらわれるような日本人離れしたタイプだ。 孤独のあまりどうにかなったのかと思ったが、頬をつねり、目をこすっても消えない。 馬鹿みたいに突っ立っている俺を尻目に、美女は悠々と辺りを見回している。 そして、満足そうにつぶやいた。 「この部屋なら、間違ってもサンタクロースが来る心配はないわね」 この一言に、俺にかかっていた『美』の呪縛が解けた。 人の部屋に無断であがりこんできて、いちゃもんをつけるなんて、どういう神経だ、この女。 「あ、あんた、どうやってこの部屋に入ってきた?」 追い出す前にこれだけは聞いておかなければ。 どこもかしこもきちんと鍵をかけて戸締りしておいたはずだ。 「どうしても説明しなくちゃいけないかしら? あまりあなたのお気に召さないと思うけど」 「気に入るか入らないかは、俺が決める」 せいいっぱい語気荒く言い放つと、女は挑戦的な視線をちらりとこちらに投げて口を開いた。 「長々と説明してもわからないだろうから、簡単に言うわね。次元の穴をくぐってきたの」 再び、絶句。 気に入るとか入らないとか、そんなレベルの問題じゃないぞ、これは。 俺をからかっているのか、それとも本気で言っているのか。 どちらにしても、厄介事のにおいしかしない。 一も二もなくとっとと追い出すべきだ、と理性は警告している。 だが、それに反して口は勝手に次の質問をしようとしていた。 「えー、それはそれとして。一体俺に何の用だ?」 「あなたに特に用はないけど、隠れ場所を探してるの。追われてるのよ」 やや作りごと臭いが、さっきよりはまともな答えだ、とちょっと安心したのもほんの束の間。 つい突っ込んでしまったのが間違いだった。 「追われてるって、誰に?」 「サンタクロース」魔法少女 抱き枕 こんな大物の名前が出るとは。 ……ええい、毒を食らわば皿まで、だ。 「なんでよりによって俺の家に?」 「クリスマスが全然ないから。リースとか、ツリーとか、ローストチキンとか、そういうものはサンタクロースを引きつけるの」 少しのよどみもなく、確信を持った口ぶりで女は話す。 そのくせ、俺に信じさせようとか、俺を説得しようとかいう熱意は少しも感じられない。 そこが逆に一種の真実味のようなものを醸し出している気もする。 俺は最後にとっておいた質問を発した。 「あんた一体、誰なんだ?」 「人形よ。サンタクロースの袋から逃げ出してきたの」 確かに、全身整形疑惑を引き起こしかねないほど完璧なスタイルだな。 もはや何も言うべき言葉が見つからず、そんなくだらない感想しか浮かんでこない。 俺の沈黙を不信の表れと受け取ったのか、女は不満げに頭を振った。 「信じてくれなくても結構。私はここから動かないから、追い出したいなら力づくでどうぞ」 最後の「どうぞ」を嫌味なほど強調してしめくくると、それきり口をつぐむ。 「ここから動かない」の言葉通り、座りもせず、邪魔にならない部屋の隅に移動もせず、俺の目の前で堂々の棒立ち。 本来ならそれなりに滑稽なシチュエーションのはずだが、微塵もおかしみなんて湧いてこない。 しゃべるのをやめて静けさに包まれた女の顔が、比喩抜きで本当に人形に見えるのだ。 黒々と光る瞳、口紅をつけて生まれてきたのかと思わせるような完璧に塗られた唇、とおりすぎた鼻筋。 心の深くから、よどんだ空気を閉じ込めた泡のように、忘れかけていた恐怖感がふっと浮かびあがってくる。 そうだ、俺は子供の頃、人形が怖かった。 見えるはずのない目で何でも見通しているような気がして…… 「居座るつもりなら、コタツに入れ。見ているこっちが寒い」 気がつくと、俺は思ってもいなかった言葉を口にしていた。 しかも、言葉面とは裏腹に半ば懇願するような調子で。 「じゃあ、お言葉に甘えて。別に私は寒さなんて感じないんだけれど」 嫌味なほど長い足をコタツに押し込みながら、女は初めて笑みらしきものを浮かべた。 唇だけの温かみなんて欠片のない笑いだが、人形そのものの無表情の後に見ると、なんだかほっとする。 女と向かいあってコタツにおさまり、冷えきった体に再び熱が巡りはじめると、常識的な判断力が戻ってきた。 さて、これからどうするべきか。 コタツに入れと一旦言ってしまった以上、今さら追い出すというのは気が引けるし、かといって正体不明の相手と狭い室内で二人きり、というのはなんとも具合が悪い。 いくら美人でも、だ。 「いつまでここにいるつもりだ?」 「夜明けまで。朝になるとサンタクロースは北へ帰るから」 単刀直入に俺が聞くと、女も簡潔に答えた。 いつまでも居座るつもりじゃないとわかって、とりあえず一安心だ。 あとは相手を刺激しないように、大人しく夜明けを待つ……というのが無難ではあるのだが。 どういうわけか、女の話をもっと聞きたくてたまらない。 サンタクロースに追われてるだの、自分は人形だの、そんな途方もない話、向こうから一方的にまくしたてられたのなら辟易するだけだろう。 が、ちょっとちらつかせてから引っ込められると、妙に好奇心を刺激する。 俺はしばらく考えた末、率直に疑問をぶつけることにした。 必要な説明は全てすませました、とでも言いたげな、無関心でかつけだるげな女の態度を見る限り、遠回しに聞き出そうとしても無駄だろう。 「あんた、本当に人形なのか? 俺には人間にしか見えないんだが」 立っていた時、本当に人形に見えたことは黙っておく。 女は面倒くさそうにうつむけていた顔を上げ、冷やかに眉をひそめた。 「見えないのなら、自分の目を信じればいいでしょう。それとも、人形だと証明しろとでも言うの? ナイフで手を切るとかして」 「いや、そこまでは言ってない」 思いっきりぶんぶんと首を横に振る。 どんなにわずかでも、流血なんてごめんだ。 人が流しているのを見ただけで、血が苦手な俺は気が遠くなってしまう。 「あなただって、自分が人間だと証明しろ、なんて言われたら困るんじゃない? それと同じよ。私は自分が人形だと知っている、それだけで十分」 女の声はあくまでもよどみなく平板で、憎々しいほどの自信に満ちている。 俺は思わず、根本的な疑問を口にした。 「でもさ、人形はしゃべったり動いたりしないだろう、普通。それこそ、メルヘンの世界でもない限り」 途端に、女の目がぎらりと光る。 「そこよ。私の次元から見たら、あなたの次元こそがメルヘンの世界なの。あなたの次元に来てはじめて、私は自我を持つことができた」 そう言えば、「次元の穴」とかなんとか言っていたっけ。 せいぜい十分くらい前のことなのに、大昔の出来事のように感じがするが。 ついていけない俺を置いてけぼりにして、女の突拍子もない説明は続く。 「本来の次元の中では、私は本当にしゃべることも動くことも、考えることもできない人形だった。工場で作られ、サンタクロースの袋の中で、誰かに配られるのを待っている人形」 声は静かなままだが、女の瞳がわずかにゆらいだ。 その時のことを思い出すと、屈辱や苦痛を感じるのだろうか。 「二つの偶然が重ならなければ、私も今頃、どこかの靴下の中に突っ込まれていたでしょうね」 「二つの偶然?」 「袋の、ちょうど私のいたあたりに穴があいていたこと。そして、私の次元とあなたの次元とを繋ぐ壁にも穴があいていたこと。サンタクロースのそりが操作を誤って次元の穴に落ちた時に、その衝撃で私が袋からこぼれおちたの」 女は少し息をつぐと、続けた。 「どんな風に落ちていったのかは、よく覚えていない。けれど、私は気がつくと意識を持った状態で、街の中に倒れていた。私とサイズのぴったり合った、人形の街のように見えるところに」 どうも光景が想像できなくて、俺は首をひねった。 「人形の街」だって? この辺りにそんなところがあっただろうか。 それに、「サイズがぴったり」というのも、どういうことかさっぱりわからない。 混乱する俺の耳に、女の淡々とした説明が流れ込んできた。 「そういえば、言ってなかったわね。私とあなたの次元はよく似ているけれど、大きさがまるで違うの。私の次元の人間は、あなたよりもずっとずっと、大きい」 「じゃあ……あんたの次元の人形が、俺と、この次元の人間と同じサイズってことになるのか」 無言で女はうなずく。 俺は背筋に冷たいものがはしるのを感じた。 ガリバー旅行記に出てくる巨人が、目の前の女と、そして俺を持ちあげて見比べているところを想像してしまったのだ。 片方は人間で片方は人形、のはずなのに、区別はつかない。 いや、そもそも人間と人形をわけるのは何なのだろう。 女がこの次元に来て自我を得たというのなら、逆に俺が向こうの次元へ行ったら、自我を失って人形になってしまうのだろうか。 ぶるりと頭を振って想像を振り落とし、俺は努めて楽天的に振舞おうとした。 「ともかく、うまく逃げてこられてよかったな。サンタクロースだって、こんなむさ苦しい男の家に隠れてるだなんて、思わないだろうし」 押し黙ったまま、女はにこりともしない。 代わりに、唇に指を当てて、低い声でささやいた。 「サンタクロースが、くる。こっちに近づいてきている」 「まさか!」 「そのうちわかるわ、嫌でもね」 そう言われると急に不安になってくる。 俺は息をつめ、五感を研ぎ澄まして待ち受けた。 これまで気にも留めていなかった色々が、細かくなった意識の網目にかかってくる。 時計の針が発するかすかな音、テレビの上にうっすら積もったほこり、台所から漂ってくる生ごみの臭い。 なんだ、何も変なところはないじゃないか。 臆病なウサギみたいにびくびくと警戒したりして、馬鹿みたいだ。 緊張の反動か、おかしさが腹の底からこみあげてくる。 部屋に重たくのしかかっていた沈黙を破って、俺はややぎこちない笑い声を響かせた。 笑いつづけているうちに、段々とぎこちなさは消えてなめらかになり、より容易に笑えるようになってくる。 こんなに思いっきり笑ったのは、久しぶりだ。 柄にもなく、クリスマスソングでも歌いたい気分。 と、絶望をにじませた女のつぶやきが聞こえてきた。 「ほら、来た」 言われてようやく、気がついた。 この高揚感、わけもない幸福感は異常だ。 サンタクロースが近づいてきている証拠が、これなのか。 だが、考えがまとまる前に、俺の口が意志にそむいて、独りでに陽気な雄叫びをあげていた。 「メリークリスマス!」 「メリークリスマス!」 応じたのはもちろん、女ではない。 陽気で、恐ろしく年老いていて、有無を言わせぬあふれんばかりの親切心を溢れさせている声。 サンタクロースの声だと、一目ならぬ一声でわかった。 「姿を見せないのは失礼だとは思うが、我慢しておくれ。わしが姿を現したら、このかわいらしい部屋が跡形もなく崩れてしまうだろうからな」 声はのんびりとした口調で言うと、くすくすと笑った。 それにつられて、俺の口からも似たような笑いがもれる。 気をつけろという意味の相図なのか、女はこちらに向かってしきりに目配せしているが、とても気を張ってなんていられない。 サンタクロースの声には、警戒心という氷の鎧をとかしてお湯に変えてしまうような、一種の魔力がある。 俺だけでなく、テレビやコタツのような無機物ですら、声に命令されれば喜んで踊り出すだろう。 「ずいぶん殺風景な部屋じゃないかね、ここは。年に一度のクリスマスイブだっていうのに。おかげで、ずいぶん探すのに手間取ったぞ、人形さんや」 「人形」という言葉に、女の肩がびくりと震えた。 サンタクロースが話しだしてからというもの、女は一度も言葉を発していない。 すっかり絶望して、話す気力がなくなっているのか、それとも。 もしかして、もう既に元の状態、話すことも動くこともできないただの人形に戻りかけているのだろうか。 「さて。夜は短く、プレゼントを届けるべき子供たちは多い。慌ただしくてすまんが、人形を拾って退散するとしよう」 巨大な見えない腕を差しのべようとでもしているのか、空中で何かものの動く気配がした。 このままでは、女は連れ去られ、誰かへのプレゼントされてしまう。 俺は思い切って、口を開いた。 サンタクロースの及ぼす影響力から抜け出しきれず、事の重大さとは不釣り合いなひどく浮ついた調子になってしまったが。 「あのう、サンタクロースさん。こうやって知り合えたのも何かの縁ってことで、一つお願いを聞いていただけませんかね」 「ん? もしかして君も、何かプレゼントが欲しいのかな?」 「いえ、その、そうじゃなくて、彼女を」 口ごもりながら女に視線を向けると、爆発的な笑い声がした。 「人形を欲しがるのは女の子かと思っていたが……まあ、いいか。最近は何が普通で何が普通じゃないのか、わしのような年寄りにはさっぱりわからんからな」 「いやそのちょっと、俺にそういう趣味は……」 「いらないのか? じゃあ、持って行くぞ」 声とともに、女の体が揺さぶられ、空中に持ちあがる。 何の重さも感じさせず、ひょいっと。 俺は慌てて立ちあがると、腕を振り回しながら声を張り上げた。 「ちょっと待って、いります、いります!」 「本当に欲しいのか、この人形が?」アニメ 抱き枕 言葉が上手く出てこず、首をぶんぶんと縦に振る。 すると、女の体はどさりと投げ出された。 本当の人形のように、悲鳴一つあげないまま。 「わかった。ではな、よいクリスマスを!」 ぼう然とする俺と、横たわったままの女を残して、声はかき消えた。 さっきまで部屋中に充満してい賑やかでかつ異様な、力に満ちた気配も消え、祭りの後のような寂しさ、心もとなさがひしひしと満ちてくる。 「やれやれ。緊張したけど、思ったよりあっさりと追い払えたな」 なんとか自分の気を引き立てようと、わざとぶっきらぼうに言いながら、俺は女の側にひざまずいた。 よかった、ちゃんとまばたきしている。 だが、その瞳は俺の方には向けられず、天井を力なく見つめたままだ。 「大丈夫か? 痛かっただろ」 声をかけても、やはりこちらを向いてはくれない。 痛々しいほどに赤い唇から、弱々しいつぶやきがもれた。 「……私はやっぱり、人形ね。サンタクロースに向かって、なんにも言えなかった。もし追いつかれたら、さんざん悪態をついて、できる限り抵抗してやろうって思ってたのに」 「そんなこと、ない」 俺の否定の言葉は、届かない。 女の声が、どんどん遠くなっていく。 「それに、私は受け渡されてしまった。サンタクロースからあなたに、人形として」 最後の言葉が発され、口が完全に閉じた、次の瞬間。 女の体がすっと小さくなった。 膨らんだ風船から空気が抜けるよりももっと速やかに、まるで最初から決められていたことのように。 あとには、小さな人形だけが残った。 のろのろと、恐ろしくのろのろと、それを手に取ってみる。 栗色のボリュームたっぷりの髪、つくりのはっきりした顔、すらりと伸びた足。 女とそっくりで、ただ全てが悲しいほど小さい。 そしてその形のいい唇は、いくら待っても決して開かれることはないのだ。 気がつくと、俺は何も上に羽織らず、靴を履いただけで外へと出ていた。 冷気が体を突き刺し、風が髪を、肌をぶつが、足は止まらない。 異なる次元が一つだけなんて、そんなのはありえない。 きっと別の次元があるはずだ。 この次元よりも小さくて、今の彼女にぴったりの大きさの── 彼女が人間に戻れる次元が。 |
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FW岡崎慎司が日本代表史上3人目で歴代回数2位タイとなる3度目のハットトリックで、日本を決勝トーナメント進出に導いた。日本代表はサウジアラビア代表に5-0で完勝。1次リーグB組を1位突破し、21日の準々決勝で開催国カタールと激突することが決まった。今大会初先発の岡崎は右足、頭、左足の「マルチゴール」で3得点。故障欠場のMF本田圭佑ら主力3人を欠く苦境のザックジャパンを救い、アジア制覇へと加速させた。
もう止まらなかった。日本が誇る「福男」岡崎がザックジャパンを勢いに乗せた。今大会初先発で、主力3人を欠くチームを勢いに乗せるハットトリック。「やってやろうと。コンディションは良かったし、できる自信があった」。満面の笑みで言い切った。 「岡崎劇場」は前半8分に幕を開けた。MF遠藤のスルーパスに反応し、相手DFの裏に抜け出すと、飛び出したGKを浮き球でかわし右足で先制点。ベンチで喜びを爆発させる本田圭に目線を送り「裏を抜けるのは狙い通り。うまくいって点も取れてよかった」。調子に乗りきれない日本を一気に加速させた。 アニメ 抱き枕 同13分にはMF香川のクロスを代名詞のダイビングヘッドで合わせ2点目。後半35分にはペナルティーエリア内でパスを受けて反転して左足で3点目を奪取。「十分チャンスはある。あとは決めるだけ」。試合前日の16日に話していた言葉を現実のものとした。 今大会は期するものがあった。日本をたった4日は長男刀也君の2歳の誕生日。一緒に時間を過ごせないことを考え、クリスマスプレゼントにブロックを贈った。そしてこの日は夫人(名前非公表)の第2子出産予定日。試合終了時点では出産に至っていなかったが、愛妻が「本人は今日だと思っていたのかもしれませんね。最初から(出産には)立ち会えないと分かっていたと思うので、その分頑張ってくれたと思います」と話したように、日本で待つ家族のために奪った3発でもあった。 歴史に名を刻むハットトリックだ。日本史上、国際Aマッチで3度目のハットは三浦知良(横浜FC)と並ぶ史上2位タイ。1位の釜本邦茂の8回には及ばないが、偉大な記録を達成した。Aマッチで得点すれば全勝という「全勝伝説」の数字も「13」まで伸ばしてみせた。 昨年の南アフリカW杯では直前で控えに降格。決勝トーナメント進出に沸く中、悔しさが募った。「自分の調子というよりは、チーム自体の調子が悪かったと思う。そこで自分がメンバーから外れたことが悔しかった」。 そこで腐らず、自分を研いだ。今大会も2戦目までは控えだったが、「チャンスは必ず来ると思います」と気持ちはなえなかった。練習から全力。その姿勢がこの日の爆発につながった。 早苗 抱き枕本田圭、松井、川島を欠く日本の「救世主」となった。過去には南アフリカW杯アジア最終予選のウズベキスタン戦でW杯出場を決める得点を決め、昨年10月のザックジャパン初戦アルゼンチン戦でも決勝点を挙げた「持ってる男」。「一体感が出ている。目標は優勝だからここで止まらずにいきたい」。21日の準々決勝の相手はカタール。開催国のゴールをこじ開け、再び勝利の歓喜をもたらしてみせる。 |
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林檎のように赤い唇が自分のそれに触れた瞬間、僕は驚いて目を見開いた。アダムの、綺麗なきれいな緑の瞳が、僕をじっと見つめていた。僕はゆっくりと瞼を降ろした。拒むという選択肢は、その時の僕には無かった。僕には、君が全てだったから。君しか、いなかったから――
今思うと、君もそうだったのだと思う。君には僕しかいなかった。僕だけが、君を受け入れ、君に寄り添える存在だった。そう信じたいだけなのかもしれない。そうなりたかっただけなのかもしれない。でもね、アダム。僕はあの時、確かに幸せだったんだ……ううん、今でも。 閉じていた瞳を開けた。目の前には冷たい灰色の壁。遥か上方に位置する小さな窓から、申し訳程度に微かな光が漏れている。吐き気を催すほどの臭気にはもう慣れた。ただこの沈黙にだけは――君の声が聞こえない静けさにだけは耐えられない。アダム。君はどうしている? 僕はただ、君に会いたい。 アダム――美しい人だ、と僕は思う。そう言うと君は少し照れて、すぐに話題を逸らしてしまうけれど。初めて会ったのは八百屋の裏口だったろうか。やせ細り、薄汚れた少年が、ゴミ箱の傍にぼんやりと佇んでいた。 「これ、今から捨てるんだけど……いるかい?」 我ながら酷い台詞だったと思う。僕は君に、腐りかけの林檎を差し出した。君は枯れ枝のような手を伸ばして、ところどころ傷んで変色したそれを奪い取った。腐臭と芳香の狭間をたゆたう果汁に汚れた自分の手と、その汁を撒き散らしながら硬度を失った果実を貪る君の唇を見比べて、僕は頬を染めた。それから僕は、毎日のゴミ出しを自ら進んで引き受けるようになったんだ。関羽雲長 抱き枕 「……怒られないのか?」 初めて君の口から洩れた言葉は、その一言であったように思う。気まぐれに顔を見せる君を、ゴミの袋を抱えたまま裏口に佇んで待っていた僕に、現れた君は一瞬戸惑ったように立ちつくし、そう呟いた。 「そうだね、そろそろ気づかれているかも。でも、誰に迷惑をかけているわけでもないし……」 肩をすくめて応えた僕に、君は眉根を寄せた。 「そういう問題じゃないだろう。おまえと、店の評判が落ちる」 はっきりとした発音の、美しい声は少し意外だった。 「じゃあもう君はここには来ないの?」 焦るように問いかけた僕に、君は俯いた。 「それは……」 「ねぇ、名前は?」 返事に窮す君に向かって、話の流れからはほとんど関係の無い、けれどずっと聞きたかった問いを発すると、君は窺うようにこちらを見上げて、答えた。 「……アダム」 「僕はシンだよ。よろしく、アダム」 微笑んで手を差し出すと、君は真っ黒に汚れた自分の手を見て、一瞬躊躇したようだった。そんな君の様子に気づいていながら、僕は手を伸ばして君の右手を無理やり握った。もう八百屋には戻れない。そんなことを思いながらも、握り返してくれた感触が嬉しくて、僕は笑ったんだ。ねぇ、アダム。僕はあの瞬間知ったんだ。君が、僕の魂のもう半分を分け合って生まれた、大切な片割れだってことを―― 僕が八百屋の丁稚を辞めて、この町で君と暮らし始めるまで、それほど多くの時間はかからなかったように思う。汚れを落として、清潔な衣服を纏った君は整った目鼻立ちをした美しい少年で、初めてその姿を見た時は息を飲んだ。一緒に食事をして、一緒に洗濯をして、一緒に眠るようになって。君は笑うようになった。泣くようになった。固く、艶やかな林檎を食む君の唇が林檎と同じくらい赤く色づいているのを見た時――僕はふと、泣きたくなった。ここに漂っているのは腐臭ではない、爽やかな、未だ瑞々しい果実の香り。僕にとって何よりも貴重で、かけがえのないもの。 アダム、僕はね。君が今でもあの香りの中で笑っていてくれるなら、後悔なんかしないよ。 ~~~ 目の前にある薄い唇に、燃えるような衝動を感じて口づけた。おまえは一瞬驚いたように黒い目を見開いたけれど、やがて瞼を閉ざして俺を受け入れた。その瞬間、俺は泣きたくなるような安堵と、深い絶望を感じたんだ。馬鹿じゃないのか、シン。拒んでくれればよかったのに。俺しかいないなんてそんな世界、おまえに与えたいわけじゃなかったのに―― 今思えば、俺はおまえを楽園から深い闇の底に引きずり込んでしまったのだと思う。俺には何もなかった。両親も、生きる糧も、希望も。だけどおまえは違う。おまえには夢があった。生活があった。家族があった。それなのに、俺は全てをおまえに失わせてしまった。どうしてこんなことになった? 分かっている。俺が孤児で、おまえと同じ性に属しているからだ。 初めて出会った八百屋の裏口、あそこからやり直せたら。おまえは、黒い瞳に憐れみでも蔑みでもない表情を湛えて俺に林檎を差し出したけれど。俺は、あの林檎を受け取るべきじゃなかった。例え、寒空の下で野垂れ死んでいたとしても。 間違いはいくつもある。あの林檎を食べたこと、ひもじさに耐えかねて、二度、三度とあの八百屋に行ったこと。一番の過ちは、おまえに声をかけたことだ。餌付けをする馬鹿がいるから困るのだと、八百屋の主人に怒鳴られた時点でもうあそこを訪れるべきじゃなかった。それなのに、おまえが座り込んでいるから。赤くかじかんだ手で、袋を携えて佇んでいるから。声をかけてしまった。名前を告げてしまった。そうしたらもう――離れられなくなった。 「僕の家へおいでよ」 その言葉がどれほど嬉しかったか、きっとおまえには分からない。どこの馬の骨とも知れない俺と二人きりで暮らすことが、おまえにとって良い影響を及ぼすわけも無いことは知っていた。それでも、俺はおまえの手を取らずにはいられなかった。 「イヴになりたいな……。僕が、イヴなら良かったのに」 初めて他人と一緒に潜り込んだ、清潔なベッドの中でおまえは呟いた。 「シンは……シンでなきゃ意味がない」 ふるふると首を振った俺に、おまえは笑って俺の頭を撫でた。シン、おまえは何て沢山のものを、俺に与えてくれたんだろう。言葉も、感情も、思い出も、人として大切にしたいと思う全てのものを、おまえが、おまえだけが与えてくれた。おまえといるのは楽しかった。人生で初めての満ち足りた日々だった。そうしていつしか俺は、その優しい黒い瞳に、暖かな手に、不思議な胸の高鳴りを覚えるようになってしまった。 あの日、俺たちの関係が決定的な変化を起こした日。おまえは幸せそうに笑っていて、俺は哀しくて泣いていた。なぁ、シン。何で俺を受け入れた? 俺にはおまえだけだから、おまえを失うことを恐れたのに、おまえは俺のために自身が失われることを是としてしまった。そのことが、哀しいほどに分かりすぎて、切なくて、俺は―― ~~~ 「同性同士の姦淫は国教と国法において忌むべき大罪である。神を冒涜し、風紀を乱し、国に害為す異端者は即刻死罪に処すべし」 僕は顔を上げた。黒い服を着たいかめしい老人が何やらぼそぼそと呟いていた気がしたけれど具体的な内容は余り耳に入らなかった。国の掟なら知っている。今となっては馬鹿げたルールだ。僕の心は縛れない。僕の心を縛れるのは、アダム、君だけだ。君に出会って僕はそう感じるようになったけれど、君は違ったみたいだね、アダム。あの日から君は恐れるようになった。僕のこと、自分のこと、それから二人のことを。 ねぇ、アダム。だから君は、僕から離れていったの? だから君は、僕を―― ~~~ 「死刑は間も無く執行されます。被害者の立ち会いは許可されていますが、どうなされますか?」アニメ 抱き枕 無機質な印象を与える銀縁の眼鏡をかけた女が機械的に紡ぎ出した言葉に、黙ったまま頷いた。“被害者”という言葉が嗤える。被害者はシンの方だ。此処に佇む俺こそが、本当は死刑台に上るべきだった。どうでも良いと思っていたはずの国の掟が、重大な意味を持って俺にのしかかって来たのはシンと出会ってから。何にも縛られなかったはずの俺が、初めてルールを破ることへの恐怖を感じるようになった。シンを失うこと、その原因となる自分の想いと、この関係性への恐怖を―― いつか失うものなら、目の前で、今、俺の手によって……そう、思ったんだ。 ~~~ ガラス越しに、君の顔が見える。相変わらず美しい、緑の瞳が僕を見つめる。幸せだよ、アダム。君に見送ってもらえる。最後まで君の、君のことだけを想って逝ける。愛してる、愛してるアダム。君に林檎を渡して良かった。君が飢えなくて、良かった。 ~~~ 「シン……シンッ!」 黒い瞳が一瞬緩み、そうして光を失った。取り乱してガラス窓に縋る俺を、憲兵たちが両側から抑え付ける。 「俺も殺せ! おまえたちだって気づいてるんだろう! 彼一人で罪は成立しない。……俺だって死刑だ!」 愛してる、愛してるシン。俺には、おまえしかいなかった。……おまえしか、いなかったんだ。どうしてそれが罪なんだ? あの林檎を食べなかったら、俺は飢えて死んでいた。それを正しいと言う神なんか、俺を救ってくれるわけ無いじゃないか。 銃声が響く。世界は異分子を排除した。国は罪人を裁いた。愛する対象に満ちみちた人々の決めたルールが、愛する対象を一つしか見出せなかった少年を殺した。 |
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藤子不二雄A氏の人気漫画「怪物くん」が3D映画化され、嵐の大野智(30)が主演することが12日、発表された。昨年4月期に日本テレビ系で連続ドラマ化されたが、連ドラ同様、大野が怪物くんを演じる。
涼宮 抱き枕映画版は、3D映画ならではのスケール感あふれる映像になる。長く伸びる怪物くんの手足が、スクリーンからビョーンと飛び出すのも迫力満点。撮影は約2カ月間なのに対し、編集作業は3D処理などで約7カ月を要するという。 単独では初の映画主演となる大野は「今回の目玉は3D! 迫力満点の映画化に、僕も期待しています!でも正直に言うと、僕自身もどんな仕上がりになるのかわかりません(笑い)。みんな、劇場で伸びてきた怪物くんの手につかまらないように気をつけてね!」。原作の藤子氏は「『怪物くん』が今度スケールアップして、3Dの映画になるという。今から楽しみでなりません!」と、それぞれ3D映画版に期待を寄せている。公開は今秋以降の予定。アニメ 抱き枕 |
